ハイフィンガー奏法もNG?

先日のレッスンで「ピアノは指で弾かない」という衝撃的なアドバイスをもらった後、その言葉の本当の意味を理解したくていろいろ調べまくった。とりあえずは「現状把握」。自分がどういう弾き方をしてきたのかを振り返ってみる。


私の最初の先生はピアノを弾く時の手の形は「卵を握ったような形」で弾きなさいと教えてくれた。この先生に2年間習い、「卵を握ったような手」を習得した。

過去記事: 卵を握ったような手の形はNG⁈


2人目のピアノの先生は「卵の手」をきらい、「がぉ〜!のポーズ」で弾きなさいとおっしゃった。

なんか力強く弾けるような感じで、ちょっと新鮮ささえ覚えた。「がぉ〜!のポーズ」いわゆる「ハイフィンガー奏法」を推奨する先生だった。ハイフィンガー奏法は指の付け根の関節(第三関節)を外らせるように手の甲よりも指が高くなるような位置から鍵盤を叩くように打つので力強い音が出しやすい。この先生に4年間習って「卵」から「がぉ〜!」へ移行した。ハイフィンガー奏法は必然的に手の甲から手首にかけてのラインはほぼ平らになり、その形で固定して指先だけを高く上げることに集中する。慣れるまで非常に苦労したのを覚えている。なにせ指を第3関節で上向きに反らすように持ち上げてから下ろすので、不自然な動きだ。

ネットで調べてみると、「卵を握るような手」と「ハイフィンガー奏法」は同じものであるという人もいる。私の経験では、一人目の先生は卵を握った形のままで弾き続けるようにとおっしゃったので、「ハイフィンガー」のように指が手の甲よりも一旦高い位置へ上がるような動きはしなかった。なので「卵奏法」と「ハイフィンガー奏法」は違うものだと認識している。

ハイフィンガーについてもいろいろ調べているうちに、大地宏子先生の博士論文、「ハイフィンガー奏法による日本のピアノ教育の系譜」にたどり着いた。137ページにも及ぶ興味深い論文だ。この論文の中で、「ハイフィンガー奏法」は「腱鞘炎を起こしやすい」「身体的にも音楽的にも極めて深刻な弊害を伴う」「手首を強張らせ、手が当たる衝撃を生み、音が鋭く硬い」「百害あって一利なし」とこれでもかと言うほどにネガティブな言葉で表現されているではないか。😱ひょぇ〜〜〜っ!

自分の演奏動画を見てみると、今の先生に指摘されたとおり、手首がガチガチに硬直して弾いている。手の甲はほぼ平ら。卵を握ったような形にはなっていないので、ハイフィンガー奏法の手の形が染みついてしまっているようだ。

私が子どもの頃のピアノ教育では卵を握った形やハイフィンガー奏法が主流だったが、現在ではやはりこの昔ながらの奏法は否定的な見方が多くなってきているようだ。こんなこともピアノを再開していなかったら知らなかったことなので、とても興味深い。なんか、「へぇ〜、おもしろいねぇ。」と感心してしまった。しかも私の場合、再開してから1年経ってようやくそれに気づかされた。それでも昔ながらのやり方でもちゃんと難しい曲を弾いているピアニストもたくさんいらっしゃるので、それほど悲観的になる必要はないのだろうけど。。


「現状把握」で問題点は洗い出された。まだ何も改善されていないのに、なんだか理想の形に一歩近づいた気がした。



コメント