「それ」に弾かせる


Gari : NekoUshiさん、こんにちは。「無心の境地に至る」という感覚がどうやらピアノ演奏においても存在するらしいということを実は最近になって知りました。が、もちろん自分自身ではまだその域を体験したことがありません。

NekoUshiさん: 無心の境地に至ると、上手く弾きたいとかこういう風に弾きたいではなく、曲と一体化した感覚になるみたいです。Gariさんも、気づいてらっしゃらないだけで、きっと無心の境地に至ったことはあるのでは?と思います。




このNekoUshiさんのお言葉があまりに奥が深く、コメント欄の中だけで私ひとり味わうにはあまりにももったいない感じがしたので、ここに記録させていただくことにしました。


実はだいぶ前に、“ぴあ飲み会” (ピアノについて語る我が家の家族飲み会)で取り上げられた議題に深〜く繋がるのですよ。うちは私のオット、Gari夫もピアノを大人になってから始めていて現在ピアノ歴3年目、そして私の娘、Gari娘も現役音大生なので、時々家族3人で飲み会する時はピアノの話で盛り上がるのです。その時の議題とは:


「それ」に弾かせる


これはGari夫が最終目標としていること。
自分を忘れるほどに無心になり「それ」に弾かせる。


「それ」ってなんじゃい?


ヘリゲルというドイツ人哲学者の書いた「弓と禅」という本に書かれているらしい。



Gari夫がこの「弓と禅」という本の存在を知ったのは、Appleの創業者スティーブ・ジョブズの伝記を読んでいた時だそうだ。スティーブが愛読していた本ということで、彼の伝記の中で取り上げられていたらしい。

「弓と禅」は著者ヘリゲルが弓道を通して「禅」を学んだ自らの体験に基づいて書かれたもの。「的を射る」ということを目的にしたり、うまく当てたいなどと意識したりしているうちはダメだ。無心になると「それ」が自分の中に出てくる。そして「それ」に弓を引かせる。というようなことが書かれているらしい。




そこで冒頭で紹介したNekoUshiさんとの会話に繋がっていくわけですよ。こういうちょっとした会話の中から、いろいろなことが繋がる瞬間が私はすごく好きなんです。


「弓と禅」について、ちょっと調べてみると、こちらのサイトで非常にわかりやすく紹介されていました。読書家の方には有名なサイトなのかも。


「弓と禅」の著者ヘリゲルは1924年に来日し、さっそく禅を学びたいと勇んだのだが、周囲の日本人からは禅はキリスト神学のようには学べないと諭(さと)され、やむなく日本文化や武芸のあれこれを観照し、その不思議な佇まいに憧れていた。

日本のアスリートたちは「ゾーンに入る」ということを『弓と禅』をヒントにしているとも聞いた。

松岡氏のサイトではヘリゲルに弓道を教えた阿波研造の言葉も紹介されている。

明治13年(1880年)生まれの阿波研造は、1918年あたりから参禅を始め、1920年・40歳の頃に内面的な大転換を体験した。「我れ弓道を学ぶこと二十余年、徒らに形に走り、その神を忘れしこと近年初めて自覚せり。弓道は禅なりと気づかざりし為、十年間無駄骨を折った」(櫻井保之助『阿波研造』)


NekoUshiさんとの何気ないやりとりから、昨夜はこのような調べ物をして、「弓と禅」を読んでみたくなって、Amazonでポチってしまいました。最近はなかなか読書に充てる時間がないので、いつ読めるかわからないけど。。いつか読めたらまたここに書き留めるとして。。



いや〜深いですねぇ。私は表現力が乏しいので、なかなかこの感動を伝えることがうまくできていませんが、もう一度、NU師匠の言葉をリピートします。


NekoUshiさん: 無心の境地に至ると、上手く弾きたいとかこういう風に弾きたいではなく、曲と一体化した感覚になるみたいです。


NekoUshiさんとコメント欄を通してお話してなかったら、「弓と禅」の話なんかとっくに記憶の彼方で、もしかしたら2度と考えることもなかったかもしれません。

また新たな世界を垣間見た感じで、今日は嬉しい。私はまだもちろんその域には達していないけど、きっと地道に修行を積んでいるうちに私たちの指にも「それ」がおりてくる日が来るかもしれない。そして「それ」がくることを意識しているうちはきっと来ないのでしょうね。

ピアノ道も禅なり〜 ♪



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