Kate Liu コンサート

Chopin Instituteのマスターリサイタル、本日はポーランドでも絶大な人気を誇るKate Liuです。彼女は前回2015年のショパンコンテストで第3位を獲得したピアニスト。本日のコンサートも素晴らしかったです。今回の会場は今までとは違ってRoyal Castle Concert Hallというこじんまりとした宮殿のホールでの開催で、素敵な雰囲気だったのですが、非常サイレンのような音が5〜6回演奏中に鳴るという残念な部分もありました。Kateはまるで気にしていないようで演奏に没頭していたようですが。

演奏後の約20分のインタビューも興味深かったです。インタビュアーが「あなたの演奏はマジックだ」というと、Kateは「Magic is in the music itself. マジックは(私が作り出したわけでなく)音楽そのものの中にあるんです」と謙遜されてました。とても感じの良い話し方をする彼女はとてもチャーミングでたくさんの人に愛される理由がわかります。

2015年のショパンコンテストでは最後のコンチェルトの演奏後スタンディングオベーションを受けたのは、出場者の中で彼女1人だけだったそうです。コンテストの優勝者予想のポーランド国民投票でも彼女が一番だったとか。インタビュアーからの質問の一つに、「ショパンコンテストではストレスや緊張を感じなかったのか」と聞かれ、「どこまで行けるか考えもせずに参加していたので、正直ほとんど緊張しなかったけれど、ファイナルの直前にはものすごく緊張しました。」と答えていました。それからインタビュアーがKateの’Chopin'の発音がポーランド人の発音に近いと言って喜んでいました。ショパンの’ショ’の部分にアクセントを置く発音です。他の国々では’パン’の方にアクセントを置く人が多いそうで。日本人も同じように発音’ショ’を強調して発音しているので、我々の発音は本来の正しい発音に近いということですね。

本日のコンサートでも、彼女はものすごく音楽に入り込んでいる表情でした。演奏が終わった後も、しばらくこちらの世界に戻ってくるまでに時間がかかっている様子がよくわかり、観客もそれを理解して拍手をするタイミングが早すぎないような配慮があって良かったです。インタビューの中でも「ピアノを弾いている時にはその曲のSpiritを感じている」「特にシューマンの幻想曲を弾いている時には、まるで別の世界に入り込んでいるような気持ち "I'm transported in other emotional world" 」と表現しています。ハイドン、ショパンのマズルカ、シューマンと3人の作曲家の曲を披露してくれましたが、どれも感情表現豊かで、繊細で、素晴らしかったです。私はショパンファンなので、特にマズルカは美しい!今まで聞いたマズルカの中で最高の演奏だったように思います。機会があったら是非生で聴いてみたいピアニストの一人です。

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