大人ピアノにスケールは必要か

 大人になってからピアノを始めた人、大人になって再開した人、特にピアノを職業としているわけでもなく、コンクールや試験を受けるわけでもなく、趣味の範囲でピアノを楽しんでいる状況では、「スケールは必要なのか?」ということを疑問に思うことって多いと思うんです。


子どもの頃ピアノを習っていて1番嫌いだったのがスケールなどの基礎練習でした。だから大人になってピアノを再開した時、大人なんだから好きな曲を好きな時に弾いていけばいいと思っている時期がありました。ピアノの先生もそれはそれで良いという感じでした。そもそもでは子どものピアノには基礎練は必要なのかということを考えてみると、おそらく趣味の範囲でやっていて、将来音楽を職業にしたいとかいう確固たる目標がないのであれば、子どもだって好きな曲だけ弾いてても良いのではないかという気がします。


自分のケースを振り返ると、私自身の今の長期目標を1日も早く到達させるためには「スケールは必要だ」という結論に至っています。私はまさに趣味の範囲内だけでのピアノ学習で、将来試験を受けたりコンクールに出たりという気持ちは全くありませんが、とにかく憧れの曲たちを自分の手で奏でたいという気持ち一心です。基礎練を取り入れて本腰を入れてピアノを始めたのは2020年の1月からです。それ以前の3年間は好きな曲を好きな時に弾くだけでした。基礎練を取り入れてまだ8ヶ月余りですが、違いをものすごく実感します。指が鍛えられてきている、音が安定してきている、ピースの中でスケールが出てきてもわりとすんなり弾けるような自信がついてきているような気がしています。例えばショパンのノクターン遺作20 番で最後に出てくる連続スケール。3年前にはどうもスムーズに弾けず、スケールの直前になると「失敗したらどうしよう」という不安、フィギュアスケートに例えると3回転ジャンプを跳ぶ直前のような緊張感に襲われていました。夏に3年ぶりにこの曲を弾いてみると、「あら不思議、スケールがスムーズに出来ちゃった」。何も考えずに普通にスケールが弾けるようになっている自分に気づいたんです。3年前のあの緊張感は実に基礎力不足から来る不安だったんでしょう。身をもって効果を実感したので、スケールを始め、基礎練習はこれからも続けていかなければいけないと思っています。


どうしても基礎練習が性に合わなくて、そのためにピアノそのものをやめてしまうようなケースでは基礎練はいっそ外してしまっても良いのでしょう。全てのものごとには個人差がありますからね。大人ピアノは自分に合った練習方法を見つけるということが大事なのではないでしょうか。




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