カナダでピアノ③ RCM〜Level 7ってどのくらい?

カナダでピアノを習うと、ほとんどの先生はカナダの音楽学校、RCM(Royal Conservatory of Music) の資格保持者で、RCMの提供するプログラムに沿って指導していきます。

本日はRCMの中級者レベル、Level7のプログラムをご紹介したいと思います。レベルが進む速度はもちろん個人差がありますが、初めてピアノを学ぶ人がレベル1からスタートして、早い生徒は3〜4年でこのレベルに到達します。平均的には始めてから5〜7年くらいかかるそうです。

RCMのテキストは、どのレベルも次の3種類のテキストを使用します。
1. Technical Requirements 基礎テクニック
2. Studies/Etudes エチュード
3. Repertoire レパートリー



1. 基礎テクニック:
テクニックはひたすらスケール、コード、アルペジオ。いちばんつまらない部分ですよね。先生はこれを1年にうまく振り分けて、他のピースが全て終わる頃にテクニックも規定のスピードでできるようにするそうです。レベル7の基準は以下のとおり。

16分音符のスケール、2オクターブを♩=76の速度で
長調 C, D, F, A♭, G♭
短調 C, D, F, G♯, F♯ ( ハーモニック、メロディック)

16分音符のアルペジオ、2オクターブを♩=60の速度で
長調 C, D, F, A♭, G♭(トニック、ドミナント7th)
短調 C, D, F, G♯, F♯ (トニック)

16分音符のコード、2オクターブを♩=60の速度で
長調 C, D, F, A♭, G♭(トニック、ドミナント7th)
短調 C, D, F, G♯, F♯ (トニック)

2. エチュード:
RCMレベル7のStudies/Etudesのテキストには13 曲入っていますが、その中から2〜3曲を選んで練習します。それぞれのピースにはどのような技術を習得する目的で練習するということが注意書きに書かれています。以下にいくつかのピースを紹介します。学習者の苦手なエリアを中心に選曲することができるのでいいですね。練習曲とは言うものの、わりと聞き応えのあるピースが多いので、取り組みやすいと思います。

Christopher Norton - Wound Up, アーティキュレーションとリズムのコントロール
Kabalevsky - Dance Op.27-27, 3度のスタッカート
Yalena F Gnestina - Spinning Top, Virtuosity 高度な技術
Mike Schoenmehl - Cyclone, クロマティックスケール

3. レパートリー:
レベル7のレパートリーのテキストはリストA、B、Cと3つの時代区分に分かれていて、それぞれの時代に6〜10曲ずつ入っています。このテキストにある曲を全部やる必要はありません。リストA、B、Cからそれぞれ2〜3曲ずつ選んで練習します。RCMのウェブサイトにはシラバスがあり、テキストに載っていないピースもたくさん記載されていますので、必ずしもこのテキストに載っていないピースを選んでも良いのですが、多くの先生はこのテキストに載っている曲を使います。

以下にレパートリーのテキストからいくつかの曲を紹介します。ピアノ学習者には馴染み深い曲も多いので、レベル7がどのくらいのレベルかなんとなくわかっていただけるのではないかと思います。

List A バロック時代
JH Fiocco - Suite in G Major, Op.11-1
JS Bach - インヴェンション Invention No.1 in C Major, BWV 772

List B クラシカル時代
Beethoven - エリーゼのために Fur Elise
Haydn - ソナタ Sonata in D Major, Hob. XVII, 3rd Movement 

List C ロマン派以降
Mendelssohn - Venetian Boat Song Op.30-6
Chopin - プレリュード Prelude in E Minor, Op.28-4 
Brian Bonsor - Feelin’ Good
Stephan Chatman - Katherine

Level7になるとバッハのインヴェンションがスタートします。
それからベートーベンの「エリーゼのために」は皆さんご存知ですね。ピアノ学習者の多くの憧れ曲の1つだと思います。
そしてショパンの名前はこのLevel7から目にすることができます。
Brian Bonsor のFeelin’ Good はジャズのリズムで素敵な曲です。
Stephan Chatman はカナダ人の作曲家で、この Katherineという曲は非常に綺麗なメロディの曲です。彼は現在バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学の音楽学部の教授。



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